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ロジスティクス戦略  コストマネジメント     社内コンサル手法  物流ABC  
創造力育成        低温物流・店舗管理    現場改善
ロジスティクス戦略(Logistics strategy)    >>ホームへ    >>先頭へ
 
「ロジスティクス」、「戦略」という言葉はともに軍事用語でありそれを企業経営に応用されるようになったもので新しい用語ではあるが今日的な意味では中心的な概念といえます。
 しかしながら日本においては特に「ロジスティクス」を経営の中で語る企業は限られているのが現状です。あるいは「ロジスティクス=物流」ととらえ経営の 古い枠組みから抜け出せない企業もあちこちで見受けられます。ここでは、「ロジスティクスとは」、「戦略とは」、「経営戦略とロジスティクス戦略」、そし て「ロジスティクス戦略構築法」について著します。
 

ロジスティクスとは
 
 最もポピュラーな定義として米国ロジスティクスマネジメント協会の1986年のロジスティクスマネジメント定義があります。

”the process of planning,implementing and controlling the efficient,cost-effective flow and storage of goods,services,and related information from point-of-consumption for the purpose of conforming to customer requirements"

 ロジスティクスマネジメントとは「顧客の要求に適合するように、産出点から消費点までの効率的かつ費用対効果の大きい物とサービスおよび関連する情報の 流れと保管を計画し、実行し、管理するプロセス」をいう。 この定義より前の1986年定義では「物とサービスおよび関連する情報」の部分は
「raw materials,in-process inventory,finished goods and related imformation
産出点から消費点までの効率的かつ費用対効果の大きい原材料、仕掛品、製品および関連する情報」となっており近年、「サービス」という表現を加えることでサービスや環境を踏まえた回収における物の流れを含むように定義を変更しています。

 これはロジスティクスマネジメントの定義であることに注意しておこう。
 (2005年高橋輝男著「ロジスティクス・イノベーション 高橋輝男+ネオ・ロジスティクス共同研究会」3ページ〜4ページを引用改筆)



 ロジスティクス定義については百者百様の表現をしていますが次の表現でイメージしていただければいいのでないでしょうか。                      
 ロジスティクスは「顧客起点からの情報、原材料起点からの情報、川上から川下まで、川下から川上までのあらゆる情報を駆使してモノの流れ全体と環境に着目し顧客の使用タイミ ングまでを同期化して顧客満足度を最大化をめざしかつコスト最適化、全体最適を満たすチェーン全体のモノの流れとそれを支援するシステム」といえます。企 業内であれば開発、生産、販売、物流、情報を総合的に結合しそれぞれが自律した活動を行う中で全体最適を実現できるネットワークシステムといえます。          

戦略とは
 
 戦略とは2006年11月10日現在のフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば「特定の目標・目的を達成するために作成される原則的、総合的かつ長期的なプランのことであり戦術の上位概念であると位置づけられる」とされています。
 戦略は軍事において最も明確に確立された用語で戦争という戦闘行為について目的ー戦略ー戦術と階層化し諸段階での最適解を計画する方法がとられている。
 このような意味から目的に対して「戦略」が明確にされていない場合、ベクトルや個別行動そのものが的を得ず到達点に達し得ないか大幅な遅れを生じることとなります。

 
経営戦略とロジスティクス戦略

 
経営戦略は「企業の存在する社会的環境、競合環境、地理的環境、人的基盤、資本、株主などとの関わりについて、企業を成功に導くために何をどのように行うかを示したもので企業活動及び企業活動に関わる人すべての指針になるもの」です。

  経営戦略は全社的指針を示す企業戦略(全社戦略 corporate strategy)、事業単位で競争優位のための指針を示す事業戦略 (business strategy)、それぞれの機能(例えば購買、人事、生産、マーケティングなど)ごとに全社的に共通な戦略を構築する機能別戦略 (functional strategy)の3つの階層に分けて考えられる。ロジスティクス戦略は機能別戦略の1つといえます。よくロジスティクスとい う名の独立した部門に於いて戦略を立案するとき立ちいかなくなるケースがあるのはロジスティクスというものは全社横断的に串刺しになった機能であることを 社内で認識されていないかロジスティクス部門が昔の物流と同義語でしか意識していないことから来ていることが多く見受けられます。

 
 ロジスティクスの視点から「戦略」を考えてみます。戦略は実行とは異なり、計画を意味しています。すなわち、産出点から消費点までのチェーンの長期的計 画をまとめることであって日々の問題を解決することではありません。「このチェーンのあるべき姿(段階的到達点を設定することもある)に向けてのベクトル 合わせ、原則確認、推進力及びしっかりとした取り組み姿勢であって、全社員に対し、チェーンのすべての段階において意識したり無意識のうちにも実務を通じ て強化された目標、計画及び方針を助けること」といえるのでないでしょうか。
 この意味でロジスティクス戦略は広い意味で消費点でのニーズを的確にとらえそれに対応する商品を時機を逃さず開発、そして産出店での原料調達から生産、 販売、物流を同期化させ消費点での需要にマッチングしたモノの流れをいかにしてどんな段階を踏んで何時までに構築するかの指針を示すことと言えます。狭義 にとらえると消費点の需要に見合った商品をタイミングよく供給するための川上から川下までのしくみをどう構築するのかを計画することといえます。


ロジスティクス戦略構築法


 ロジスティクス戦略を構築する技法はそう簡単ではない。企業全社戦略が細微にわたるまで現状や競合、今後変化するであろう環境を分析予測され立案されて いれば多くの原資料を活用できる場合もあるがロジスティクスの現状を解析するだけでも多くの時間をかけなければならないことは覚悟しなければならないで しょう。
 簡単に書けば自社のロジスティクスの現状実態(情報の流れ、モノの流れのあらゆる実態)、顧客ニーズの実態、競合実態、諸利用コンポーネント(輸送機 関、倉庫等々)の実態等々を分析した上で「あるべき姿」の当たりをつけ仮説を立て検証し、これを何度も繰り返す中で構築していくことになる。

○現状実態把握抽出資料例
1.全社情報流、物流フロー詳細図(リンク、モード、ノード)
2.商品生産・在庫・販売・物流量(年、月、週、日、時間/顧客別、発生源別、拠点別等)
3.顧客要求、自社対応能力
4.ロジスティクスコスト(情報・物流コスト)
5.競合分析資料
6.パートナー実態、サードパーティー、専門業者ピックアップ実態分析
7.中長期環境分析資料
8.商品体積、重量調査(単品別)
9.その他

 ロジスティクス戦略策定が長期ロジスティクス計画と中期ロジスティクス計画の2段構えになっているのは長期的な「あるべき姿」と理想に対し実現可能な戦 略として中期戦略を策定、実行することでPDCAをまわしながら螺旋状にビジョンに近づけることが現実的であるからである。
                                    2006.11.12篠原和豊
コストマネジメント(Cost Management)   >>ホームへ    >>先頭へ
 
  物流費の話でよくあるのが「会社として利益○○億円を増やすためには売上げを○○億円÷ 想定利益率分上げるか物流費を○○円削減するかである。○○億円の何倍もの売上げを上げるのは競争相手のある中で並大抵のことではない。それなら物流費を ○○円削減する方がてっとりばやい」と言われます。一理のある話です。物流費氷山の一角説に該当するケースはまだまだ多く存在しちょっとした改善で物流費 2,3割を削減することができます。
 
 又、物流管理部門で物流費を予算コントロールすることに血眼になっているケースも多く見受けられますが多くの場合はうまくいっていません。
 なぜなら、 物流部門では生産や販売の数量はコントロール外のものであり多くの物流コスト増減要因はこの数量の多少によるからです。遠隔地のお得意先への納入量が増えたり配送頻度の多いお得意先の荷物が増えた時にも大抵の場合は物流費が増加します。しかしこれらのお得意先が利益率の高いお得意先である場合、物流費の上昇分を販売利益で簡単にカバーしてしまう場合もあります。
  物流に関わるコストマネジメントは全社的あるいはサプライチェーンの中でのコスト構造そのものがどうなっているのか、どう推移しているか、そしてどう物流を行い全体最適コストを創出するのかということです。言いかえれば「コストを通して問題を発見することとそれを止揚したしくみとしかけを創ること」と言えるでしょう。



環境が変わればコストは変わる、そこでマネジメントが要求されます

 原油価格が高騰した今、エンジン燃料などの上昇による物流費への影響は多大なものがあります。生産コストの引き下げを狙った工場の海外移転は物流コスト面では単純に考えると増加要因でもあります。
 こ のような環境が激変する中では「コストを低減する」「コストを削減する」という理論だけではどうしようもないものがあります。荷主であれば委託業者さんに 運賃や作業代金の引き下げ交渉一辺倒では立ちいかなくなっています。かといってコストを野放しにしていれば荒れ放題の原野に後戻りしてしまいます。
 そこで「コストをマネジメントする」ということが大切になるのです。コストがどう変化しているのか?それはどのような要因で変化しているのか?適正なし くみのもとでコストが発生しているのか?問題点の発見がマネジメントのスタートです。そして不都合なしくみをつくりかえるということもコストマネジメント の役割です。

ロジスティクスコストマネジメント

 ロジスティクス戦略策定の項でロジスティクスマネジメントとは「顧客の要求に適合するように、産出点から消費点までの効率的かつ費用対効果の大きい物と サービスおよび関連する情報の流れと保管を計画し、実行し、管理するプロセス」をいうとの定義を記しました。
 この定義からロジスティクスコストマネジメントは「このプロセスをコストを通じて問題点を発見し計画、実行、管理するマネジメントそのもの」であると言 えるでしょう。ロジスティクスは企業を競争優位に導くことを前提にした概念ですから最適なしくみの中で最適コストが考えられなければいけないでしょう。 従って全体の中での費用対効果を語らなければなりません。従ってコスト削減を行う場合にも費用対効果でどこまで下げれば効果を損なわず削減できるのかを見 極め折り合いをつけるのもマネジメントの役割となります。
 繰り返しになりますが、コストマネジメントはコントロール(control)ではありません。ある行動を行うときにプロセスと結果をコスト評価し、計画、実行、統制という流れをコストを通してものごとを効果的に行う業務なのです。
 ロジスティクスの目的を達成するために質を高めるコストはグッドコストであり、全く使用されない物流機器があるとすればそれはムダなバッドコストと言えます。ロジスティクスコストマネジメントではこのような判断を行い変革、向上を促すものです。


コストマネジメントツール

1.部門別・部署別成績表
  ロジスティクス部門のコストは取扱量によって増減されることが多い。その意味に於いてプロフィットセンターあるいは仮想プロフィットセンター的成績表 で評価判断することが望まれます。すなわち、会計データの中で数量に影響されない固定費的なものと数量に比例して変動する変動費的なものに区分し成績評価 期間の物流量と照らし合わせて分析することが最低限要求されます。コスト総額、科目別コスト、量とコストの関係、科目別コスト単価などから一定の判断を下 すことになります。ただ、これだけの資料ではしくみがどうなっていてこの成績になったかまでは分からないでしょう。

2.予実差異・前年差異分析表
  
 1の成績表を数量変動要因も含めて予算との差異、前年との差異を数量差異、予算差異、単価差異などの様々な差異を科目ごとに検証するもので多方面から評価を加えるものです。これをグラフ表現すると大変わかりやすくなります。
実績値と予算値、この差の変動値を固定費対象科目、変動費対象科目に分類しそれぞれについて総額と単価の両面で分析を行います。
 総合あるいは部門、センターごとなどの切り口で分析が可能です。

3.物流ABC(活動基準原価計算
  詳しくは別項で説明します。
物流コストを活動(アクティビティー)を中心にとらえて算出する計算方法で普通の成績表や会計データでは見えないコスト構造が見えてきます。このABCで 算出された活動ごとのコストを得意先別や作業者ごと商品ごとなどにやきなおして検証することも可能です。このことから問題発見、しくみの作り替えなどのヒ ントを与えてくれます。

4.その他のツール
  ツールはコスト構造を可視化するものでそれぞれの商品や会社の特性に応じて種々検討されてしかるべきです。要は隠れて見えないものを明確に見えるようにすることから始まります。


コストマネジメントの活かし方
  最初に記したように物流コストは物流部門で管理可能なコストと管理不可能なコストが存在します。しかしマネジメントでは自部門で管理不可能であっても そのコストがどのようなしくみで発生しているのかは解明できるはずですから積極的にコスト発生の要因を作っている部門との協働作業で最適コストへの取り組 みを行わなければ全体最適を追求できないでしょう。
  コストを活かすためにはどれだけコストが発生しているかを知ることではなくどれだけ投下したコストが効果を上げているのかを考えることが重要です。経理の専門部署では正確性が求められますがむしろコストをいかにマネジメントするかに重点をおくべきでしょう。
 そしてロジスティクス部門からも競争優位戦略の提案を経営層に投げかけることもミッションの1つとも言えます。

                                 2006/11/15 篠原 和豊


 
社内コンサル技法       >>ホームへ    >>先頭へ
 
  近年、物流の分野において「社内コンサル」という表現を目にすることが増えています。企業組織では本来、上位管理者が自らのスキルや経験、時には人から聞 いたり外部で研修してきたことを部下に対し教える、あるいは指導する方法で改善に取り組んできました。QC活動や類似改善活動も自発的な取り組みといってもそ の萌芽となる火種は経験者のスキルによるものでありました。ところが物流分野においても近代化とアウトソーシングの波による企画管理者と現場実務者の分化が顕著となり現業従事者の単純作業が増加してきました。このような背景から現場の核になり昔のサークルリーダー的な存在が減少してきたと言えます。
  他方で作業の単純化や機械化でしくみはどうなったのか、今後どうすればいいのかを考え方向付けをする役割、流れ作業から一人完結型の作業化への回帰な ど物流作業自体が多様化している中での改善推進者が求められています。この役割を担うのが社内コンサルタントといえるでしょう。社内コンサルタントは現場に精通し、しかも問題発見能力や改善手法を考え実行に移したり現場の人たちにそれを定着させ現場の人たち自ら改善に進んで取り組んでいくような風土をつくりだす役割も要求されます。

外部コンサルタントと社内コンサルタント
  物流分野の外部コンサルタントは多くの企業のコンサル経験からこの分野の専門的な目や改善のヒント、方法をどう使っていくのか社内では持ち得ない多く のスキルを備えています。この意味から頭の固い経営者層にも一定のインパクトを与えたり何も考えずに仕事をしている人達には「目に鱗」のショックを与えることも可能です。
  一方、社内コンサルであるべき人材は今日的な組織構造では物流管理部門や企画部門のスタッフ、あるいは物流センターのマネージャークラスが対象になる でしょう。問題はこれらの人たちが現場から離れているか計数管理や外部折衝などが主体となっていることが多いことです。特にアウトソーシングをしている場 合は現場は全く関係ないというケースもあるという現実があります。
 
 しかし、物流のことをよく知っている外部コンサルを用いた方が社内コンサル的な人たちだけでやるのよりいい結果を得られるでしょうか?外部コンサルは物 流の専門家であっても当該企業の特性、商品、得意先、経営内容などについては素人なのです。外部コンサルを用いて失敗するケースは他社で成功した方法をそ のまま持ち込んだ場合であり多くの悲劇が報告されています。すべてコンサルまかせ、コンサルも企業特性を十分理解しなかった場合です。成功する外部コンサルは 素早く企業の特性を把握し多くの経験をその企業なりにやきなおし運用する柔軟な思考の持ち主が多いはずです。
 
 社内コンサルは外部の多くの経験は持っていないかわりに企業特有の事情は承知しています。その点で社外コンサルよりスタート時点では有利なはずです。と ころがここに落とし穴があるのです。多く知っているが故に固定観念にとらわれていることが多いのです。「それはだめ、これはできない。そんなのできるはず がない。」等々ネガティブ思考になりがちであったり「今のやり方でずーっとやってきたのだから何ら問題ない」という現状肯定をしてしまう場合などがこれにあたります。このような人たちにはコンサル不適任と言えます。社内コンサルを重視するのであれば現状への批判精神が旺盛で一歩でも二歩でも前に進む意欲のある人で論理的思考と現場の人と協働作業のできる包容力のある人にその任にあたってもらうのがいいでしょう。
 即効性を求めて点火役をしてもらうのであれば外部コンサルを、長く風土を醸成させるのであれば社内コンサルを育てることをお薦めします。もちろん、社内コンサルを育てる場合に外部コンサルにやってもらうのがいいでしょう。その場合には物流の問題発見方法から課題設定、解決方法発見、実施(現場の人たちへの落とし込みと育成も含む)、検証と自社にあったコンサル手法をやりながら作り上げていく方法をとってください。

社内コンサル技法1(会社の絵を描こう)

 1番目の技法は徹底して自社の資源すなわち人、もの(製品やサービス)、カネなどに強くなることから始めて下さい。自社がどんなお客さんにどんな商品を使っていただいてどれくらいの経営状態になっているのか、できればその特徴を絵に描けるくらいになってください。
 実は社内コンサルが社外コンサルよりも有利な部分はスタート時点でのこの部分に差があることです。社外コンサルはこの部分を短期間で穴埋めする方法を知っているのです。絵を描けるからです。全体を鳥瞰すること、個別特徴を掴むことに慣れているのです。
  それなら社内コンサルの場合も多くの会社での経験を整理して絵に描いてみればいいのです。個別特徴も一個一個まとめてみればいいだけのことです。社外コンサルよりもしっかりとした詳細できめ細やかな色使いで仕上げることができるはずです。

社内コンサル技法2(流れを図にしよう)
 
 2番目の技法は川上から川下まで、川下から川上までの情報やモノの流れを図にすることです。多分何百、何千という線が引かれるでしょう。出発点、到着点、中継点なども入れていきます。最初は細い線や小さな点でもいいでしょう。1枚の紙に収まらないのであれば何枚も作って下さい。商品群別になったり輸送手段別になることがあるかもしれませんがとにかく仕上げてみましょう。

社内コンサル技法3(データを集め図に表現する)

 3番目はデータを集め図にすることです。データ集めは結構やっかいです。コンピュータなどに入っていればいいですが販売や製造、出荷量など原始データを1つ1つ拾い集めたり、場合によっては距離や時間、作業人数などを調査することもあります。そしてそのデータを図やグラフにするのです。技法2で仕上げた線や点に数字を入れ太くしたり細くするのもここで行います。データ収集は効率よく行うため最初に何のために行いどう使うのかを明確にし対象となるデータが的確に集められるよう段取りをしてから行って下さい。そして図を仕上げて下さい。データは定量的なデータだけではありません。定性的なデータもあります。

社内コンサル技法4(解析をする)

 4番目に解析という作業が入ります。ここでは絵や図、グラフ、表などを重ね合わせたり特徴的な数値や極端な表現になっているところをピックアップし問題をあぶり出していきます。カードを用いるのであれば簡単な表現で1枚ずつ言葉と数字で表現して下さい。そしてそれを絵の中に入れていってもいいでしょう。そうすると問題の集中しているところや表現で類似した項目にまとめられるものがあることに気がつくはずです。
 この段階では何が本当の問題かをどんどん絞り込んでいく作業を行って下さい。そしてまとめ上げていきます。

社内コンサル技法5(あるべき姿を描く)
 
 5番目に現状のありのままの姿と問題点からそれをどうすべきなのか、どうしたいのかを対局像として描きます。たいていの場合、対局的な姿があるべき姿として描かれるはずです。
 この段階では数値も明確に示し書き込んでください。数値で表現をすると具体的ギャップが明確にわかりとらえやすくなります。

社内コンサル技法6(ギャップ要因を列挙する)
 
 6番目に現状とあるべき姿のギャップ要因を列挙します。ここではブレーンストーミングや特性要因図等々QC7つ道具なども用いてもいいでしょう。注意しなければならないのは現在の問題点はみんなが何の疑問もなく行っていたか仕方がないと思ってやっていたかなどそれぞれの存在理由があるはずですから、みんなでわかり納得する方法で列挙していく方法をとってください。

社内コンサル技法7(解決方法を考える)
 
 ここで解決方法を考えますがあるべき姿が10とすると5までは何時までに、7までは何時までになど時間とレベル要素が付け加えられなければなりません。解決方法についてはよく言われることですがなくしたりくっつけたり向きを変えてみたりいろいろなことが考えられます。自由な発想を大切にして仕上げてください。

社内コンサル技法8(解決策を実施する)

  実施することほど難しいことはありません。実施すればすぐ完璧ということは絶対といっていいくらいありえません。どうすればいいのでしょう。やったことがうまくいかないのには何らかのうまくいかない理由があります。ここで又、細かい問題抽出、解析、対策と繰り返し行う根気強さを全員で備えましょう。そして繰り返してよりいいと思う対策へと昇華してくのです。

社内コンサル技法9(実施策の評価)
 
 必ず数値を用いて評価してください。定量データは問題ありませんが働きやすさや人間関係がどうなったとかの定性データも数値で表現できれば成果と今後の目標づくりに役立ってきます。

社内コンサル技法10(実施策の定着)

  実際には定着が目的ではなく、後退の防止とバージョンアップへの流れを作り出す風土醸成といった方があたっているのでないでしょうか。とにかく一人一人が働きながら考え、考えながら働けるように問題意識を持ってもらうことに努めて下さい。表彰制度を設けたり成果を掲示をするなど様々な方法があるはずです。

社内コンサル像

 社内コンサル像を列挙しておきます。
 
 (1)現在から未来への展開を描ける。
 (2)ストーリーを描き熱意を持って問題解決にあたれる。
 (3)事故や問題に素早く対処し関連する人たちと一緒に解決にあたれる。
 (4)大局と現象を客観的に見ることができ常に行動することができる。
 (5)現場を大切にする。人間関係も問題なく築くことができる。
 (6)経営層にも問題指摘や改革案をプレゼンでき同意を得られる。

社内コンサルを育成するために社外コンサルを使う

 社内コンサルは永久的に企業の存続のためのキーマンになる方々です。早期育成と核になるべき人数が必要とされます。いききとした企業にするため専門家としての素養とスキルを育成する一発解決型コンサルトとは違う育成型社外コンサルを使ってみることをお勧めします。
                             2006年11月19日 篠原 和豊

物流ABC(Activity Based Costing)     >>ホームへ    >>先頭へ

 もうすでに多くの方が「物流ABC」という用語を耳にしたり聞いたり試してみたりしているのでないでしょうか。うまく活用できているでしょうか?多分、どういう時にこれを使うのかが分からなかったり、やろうとしたが手間がかかると感じたりいまいちメリットを感じられなかったりと常用している事業所はまだまだ数少ないのでないでしょうか。

現状をしっかり把握するなら「物流ABC」を 

  それでは皆さん方の職場ではどのお得意先にいくらの物流費がかかっているかをどんな方法で算出しているのでしょうか。どの商品にいくらの物流費を要しているのかがはっきりと出ているでしょうか。又、物流のどの作業や手段ごとにどれだけの費用がかかっているか分かりますか。分かっていると応えられる方の場合でもとんでもない的外れなコスト把握をしていることも多々あるのです。儲かっていると思っているお得意先や商品が実際は赤字の垂れ流しをしている場合もあると思ってください。
 物流ABCは改善や改革の方法ではありません。あくまでも現状を明らかにし気づきを得るためのコスト算出方法です。現場の改善は日々作業を行っている方々がより働きやすくより簡単により楽にしごとを仕上げることができるように目や耳、手、足、体で実感したことをひとつひとつ変えていくことの積み重ねでなされるものです。日々の職場ごとの改善活動こそが仕事の質を高め商品(サービス)の価値を高める重要なファクターです。ただ、改善改革の大きなポイントはどこにあるか、どこに不具合があるのか、もし物流費を個別にいただくのであれば顧客別、商品別ではいくらが妥当なのかなど現状を的確に表現するものとして物流ABCを活用して欲しいと思います。

コスト算出原理は簡単です

  よく物流費を得意先別に配賦する方法として重量や容積で算出することがあります。一応はっきりとした実績ですからいいといえばいいのでしょう。しかし、同じ重量でも同じ人数で同じ時間作業を行って仕上げたかというとそうでないケースが大半でしょう。なぜならそれぞれのお得意先の納入条件が異なっているはずです。ケース単位で納品してくださいとかピース単位で納品してください、週7日の納品、週1回の納品、受注締め切り後5時間以内、受注締め切り 1日後とかで作業や配送のやり方に大きな違いが生じます。当然、作業時間や投入資源も異なってくるでしょう。コストは当然異なってしかるべきです。
  これをはっきりと算出するのが物流ABCの考え方です。なぜでしょう。
私のやっている物流ABCでは次の考え方をしています。
 
  ABCコスト=作業活動単位あたりの標準原価×単位あたりの作業時間×活動回数
   言いかえれば
  ABCコスト=作業者の給料単価(円)×1単位作業にかかる時間×何回作業を行ったか

こうすることによって実際に物流現場で何にいくらかかっているのかがはっきりしてくるのです。決して量ではないのです。「活動」が中心に考えられます。
  人はどんな作業を何時間やっているか出せるけど機械や場所はどうなるのといった疑問が出るでしょう。これも対象となる活動に何時間(分)使用しているかを基準にして配賦されます。情報処理などコンピュータやサーバー、事務機器なども同様です。決して産出量で配賦はしません。

でも物流活動ってどんなものがあるの

 例えば倉庫の作業では「入荷作業」が思いつきます。これをブレークダウンすると「トラックからおろす」→「トラックからパレット単位でおろす」「トラックからケース単位でおろす」「パレット単位でフォークリフトで運ぶ」「パレット単位でハンドリフトで運ぶ」「ケースをパレットに積む」「ケースを台車に積む」「ケースを台車で運ぶ」「ケースを手に持って運ぶ」など様々な活動があります。現場の作業の1つ1つを見て最も区分しやすく時間も調べやすいと思われる単位で作業を表現してみてください。実に多くの作業がリストアップされるはずです。

物流ABCの手順
 
コスト算出対象の規模によって手順も異なりますが私の場合はほぼ次のような手順で行っています。標準的な場合には3ヶ月くらいを見ています。最初から物流ABCとはとか会計データが揃っていないとかという場合はそれらを余分に見て考えなければ行けないでしょう。



物流ABCのフレームとなる算出ツール

  活動時間把握や処理量をまとめるツールもありますが、最終的にまとめ上げるツールとしては下記の二つのツールです。
@アクティビティコスト総合表
  アクティビティごとの作業時間や使用面積を基準に投入された科目別経費を再配賦してして作成するものでいわば全体の鳥瞰図でありかつ細部の作業とコストまで示した表です。アクティビティからの切り込みを考える材料にもなります。
Aアクティビティコスト算定表
  目的別にコストを算定した表で得意先や商品、作業時間帯別、作業者属性別など様々な切り口に合わせて作成します。従ってサプライチェーンコストの作成や商品原価算出の物流部分の算出ツールとしても使用されます。

物流ABCは本当に役に立つのでしょうか
 
 どんな有益なツールでも目的を明確にして積極的に取り組まなければ何の役にも立たないばかりか、職場の士気の減退をも招くのでないでしょうか。要はちゃんとやればとてつもなく成果を得られ、ちゃんとやらなければ何ともならないといえます。
  現状がどうなっているか分からない。何とかしたいと思われ現状把握からスタートするのであればお勧めする方法でもあります。余談ですがどんなアクティビティがあるのか現場を見ている段階で多くの改善点やなくしても影響のない作業もたくさんあることに気づきすぐ手を打ってコストを下げたという例も多く耳にしています。

(注)私がABCを使ってみたのが1997年です。「物流費氷山の一角説」がまだまだ通用する時でしたので会計データに表れない多くの経費を物流費に置き換え計算しなければなりませんでした。コスト配賦の仕方、アクティビティの定義づけなど大変な時間を要したのを思い出します。 
 同じ頃、「物流ABC」と名付けた手法が発表、
使用され始めましたのでそれらも参考にさせて
いただきました。 

 今では中小企業庁から「物流ABC準拠による物流コスト算定マニュアル」という簡便なものも発表されています。いずれにしても最初は少しとっつきにくかったり面倒な感じがしますが物流の本当の姿に迫るのであれば是非試していただきたいコスト算定の手法です。導入期にコンサルタントに相談するのが早く理解するためにはいいかもわかりません。
                             
                            2006/11/23  篠原 和豊 
          
           創造力育成               >>ホームへ    >>先頭へ

 「イノベーション(Innovation)」という言葉がよく使われています。めまぐるしく変わる環境の中で競争に打ち勝ち持続的な発展を遂げるためには常に必要なものです。
 この言葉は「古い考えや方法を廃棄すること」と「新しい考え方や方法を開発する」という二つの意味を備えています。つまり、古い観念を打ち破り新しい独創性が強く求められている時代を反映した言葉でもあります。「ドッグイヤー」を通り越して「○○イヤー」というほど変化のスピードの激しい時代に対応する「創造力」が強く求められているのです。活力のある企業には多くの「創造力」を備えたメンバーが次々と生まれています。誰でもがこの「創造力」は備えており制約を取り払いさえすれば大なり小なり発揮することができるはずです。

創造力は問題意識から

  明確な問題意識を持っている人とそうでない人とでははっきりと「ひらめき」に差が出てきます。「ひらめき」は情報の量や質によって違ってきます。常に問題意識を持つかどうかでその差が出てきます。ニュートンが落ちるリンゴがアンテナにひっかかって万有引力の法則を発見したのも常に意識して考えていたからに他なりません。普通の人なら見逃してしまうことを問題意識を持っているからこそ注意深い観察力でリンゴの落下に気づきリンゴと物体の間に働くある力のある事実をつかむ洞察力で万有引力を発見したのです。
 問題意識を持っていれば多少曖昧なものでも経験と曖昧な現象を重ね合わせ乱暴ないい方ですが「ひらめき」に変える力が発揮されるのでないでしょうか。
 組織の場合でも同様のことが当てはまります。組織の構成員全体がある目的、例えば「毎日、時間内に作業が終わらない。作業時間内に終わるようにしたい。」という目的意識を共有して毎日の仕事を検証しながら働いているといろいろなことが目につくはずです。作業を始めようにも材料がなかなか入ってこない。ある部署でたくさん仕掛品がたまってしまう。いろいろな現象を発見できるはずです。意識しなければ「時間内に仕事が終わらないのは当たり前」と何の不思議も感じない現実があります。「問題意識を持って「観察」、「気づき」、「洞察」、「創造」と進むことを認識しておきましょう。

何も感じない不思議と固定観念

 通勤電車の窓から眺める風景が毎日変化しているのをお気づきでしょうか。何気なく通り過ぎていれば桜が咲いて春を感じたり木の枝の葉っぱが散ってしまって冬を感じたりと決してあり得ない話でしか感じていない人も多いはずです。ましてや、あるところの看板が変わったのがいつか、社内づりでさえ週2回変わっているのに全く気にしていないとか意識してみていないと何も感じないものです。
 よくよく考えてみれば毎日の電車の乗る車輌が何両目で座る場所もほぼ同じ、よく考えれば名前は知らないが同じ顔の人が前の座席に座っているという方は多いはずです。これは不思議でも何でもありません。人は習性というものがあり同じ行動を繰り返すものです。
 これが創造力にはやっかいなものなのです。人には現状に甘んじようとする心理があります。仲間本能、一致本能のなせる業です。現在行われている方法どおりにやろうとします。又、正しい答えが1つしかないと思いこんでいることもあります。択一式の答えしか求めない試験になれて育った影響でしょうか。さらにはいろいろな情報を持ちすぎてそれを処理する力が追いつかないケースもあります。
削ったり組み合わせたりということができなくなっているのです。

固定観念や殻を破るには

 何から何まで変える必要はないが次のようなことに気をつければいいのでないでしょうか。
@現状はあたりまえではない。最悪の状態(一番最低のレベル、スタート地点)であるととらえ
  常に不満を持ってみつめる。
A常識的な見方、他の人と同じでありたいという気持ちや考えよりも「ちょい悪」的な感じで
  斜に構えて他人が知らないことややっていないことに目をつけてみる。
B現在持っている知識や経験は絶対ではないんだ。「他に何かないか」という視点を持つ。
C時にはルールや言い伝え、習慣をも疑ってみる。

組織でアイデアを創造のタネとするために

 人間は感情の動物でもあります。アイデアは大切にしたいものです。「そんなのできるはずがないよ、理論と実践は別だよ」「そんな簡単なもんじゃないよ」「考えが飛躍しすぎているんじゃないか」「みんなが納得すると思うか」「よそでやっていることだろう」などなどのキラーフレーズは案外強いものです。
そこで諦めてしまうことも多いはずです。ところが人から言われるだけでなく自分自身がそういうキラーフレーズを内心で発することが多いのです。アイデアだしの段階ではしばりを組織全体でも個人の中でも取り払ってしまうことが必要です。ブレーンストーミングのアイデアだしでは批判はしないという原則があることを思い起こしてください。「判断後回し」の原則です。

アイデアにとどまらず創造するために

 アイデアがアイデアだけでとどまっているケースは万とあるものです。原石が磨かれない状態でただの石と同じにしか見られないままでいることがほとんどでないでしょうか。少し工夫をしてみましょう。
オズボーンのチェック・リスト法などを参考に列挙してみます。

@ひっくり返してみる
 上下逆、左右逆、これまでとは逆の方向から考えてみたらどうなるでしょう。受注順に作業をやっていたのを出荷時間からさかのぼって作業を合わせたらどうなるか、A群商品とC群商品の置き場所を逆にしてみるなどがこれにあたります。

A組み合わせてみる
 二つ以上の意見やアイデアを組み合わせて新しいものができないでしょうか。「移動を少なくする」「前工程と後工程を一人でやってみたら」というアイデアが究極的な形で実現したのが「一人や対方式」です。こういうのもありです。

B縮小・拡大してみたら
 何かをとり除いたら、長くしてみたら、短くしてみたらなどなどの方法です。倉庫の棚スペースを一定枠で納めていたものを出荷頻度が高くしかも量の多い商品は出荷口に近くしかも少々ぶれて多くなっても収まる広い場所をとってみたらどうなるかとかんがえてみることもあります。

Cまねてみたら
 何か似ているものを探し出し、そのアイデアを借用できないか考えてみましょう。自動販売機でコインを投入したら商品が出てくるのをまねて棚の取り口までケースが自動的に出てくるようにやや傾斜をつけたローラー棚にしてみるといったことです。

D別の利用法はないか
 今のままで、もう少し変えてみて、他に使い道がないかを考えましょう。ピッキングカートがこれの代表でしょう。ただ単にモノを運ぶ機能だけで考えていた台車を指示通り画面に表示し商品を取りそろえしかもチェックもすませ情報処理も行ってしまうものにしてしまったのです。

E形を変えてみたら
 他の形、色、方法、要素にしたらどうかを考えてください。使い捨てのケース納品をしていたのをリターナブルのプラケースで再利用しているのがこれです。環境やコストに配慮したモノになっています。
このように少し角度をひねってみるだけで多くの新しい発想が生まれてきます。

どうでしょう?6つのチェックリストで柔軟な発想が出てきませんか?ただ、便利なだけに自分なりの「ひらめき」の方法を殺さないように注意しましょう。

構想力を備えれば創造力が具現化する

 「ひらめき」「アイデア」はあらゆるしばりを解いて柔らかな頭で自由に浮かんでくるようにすることを述べました。これらはバラバラな状態に分解されたモノでしょうから再度新たに構築する必要が生じます。すなわち断片から全体をはかれる力、これが構想力です。よく全体を描く」といいますがこういったことです。常に構想する習慣をつけ創造力を身につけてください。

創造的人間になるには

 創造的人間になるには日常、行動や思考回路の使い方で意識的に行っておかなければならないことがあります。以下、列挙します。

@好奇心を持ち繰り返し飽きずに試みる
  好奇心はいろいろな発見につながり深くそれを知ろうとする意欲的な行動につながり創造する知的活動力となります。そして飽きずに試みることでさらに掘り下げを行うことにもなります。

A自信を持つ
 成功する人は結構うぬぼれが強いものです。また、おだてにも乗りやすいといわれています。自信というのは、一種の自己暗示です。いいかえれば成功するイメージを描いているのが自信なのです。

B複雑な絵にも挑戦
 単純な絵より複雑な絵に接する方が独創力、創造力をつけるのにはいいともいわれます。複雑な絵の表現している意味や訴えを読むことは結構、創造力につながるものです。見慣れないもの不可思議なものを敬遠することによって創造力をすりへらしてしまうのでないでしょうか。

C経験がアイデアのネタになる
 何の経験もなくアイデアが出るでしょうか。いろいろなことを積み重ねることによって想像力を刺激し創造力にもつながります。何にでもチャレンジし経験を積むことをいやがらず経験を蓄積したいものです。

D不満はひらめきの萌芽
  現状に満足することなく、それを常に解消しようと意欲的に取り組んでいくことこそ創造力の源となります。ただ愚痴るだけの不満分子ではなく永久にものごとを取り組もうとする「不満家」がひらめきをうむのでないでしょうか。いつも現状に満足という人からは何も生まれてきません。

E懐疑心もパワーとなる
 この場合の懐疑心はものごとの意味するところは何だろうとかもう少しちがったものもあるのでないかとか直接的なところから感じられないことを知ろうとする態度です。恥ずかしがらずにいろいろなことを聞いたり「なぜ」「どうして」「どのようにしたら」などを投げかけるのです。ひらめきにつながりませんか?

F情報量はできるだけ豊富な方がいい
 創造をするにも何もないところからは何も生まれないでしょう。知識や情報は豊富に持ちたいものです。また、専門的なことをより掘り下げていくこともアイデアを出す力になります。そして情報を力にして使いこなせるようになることが創造力を持とうとする人の条件です。

まとめにかえて
 文中でも述べたが、組織の創造力を育成するためには創造するために阻害となるあらゆる要因をとりのぞくことです。不満も大切にする。何でも話せ聞ける雰囲気を作る。意見には否定したり黙殺することをしない。常に問題がないか考える雰囲気を作る。幅広い見方を大切にするなど個々の人たちの姿勢を大切に育てていけば組織の創造力も育成していけるのでないでしょうか。
 きっかけはセミナーなどで気づきといろいな発想法の体験をしていただくのもいいのでないでしょうか。
                         
                         2006/11/27  篠原 和豊 

低温物流・店舗管理   >>ホームへ    >>先頭へ

 低温物流を行っているものは食品、化学品、薬品、血液・・・、数えきれないほどのものがあります。
ここでは食品分野の低温物流を念頭に記します。
 食品低温物流はとりもなおさず品質劣化、食品衛生管理に係わる流通工程管理手法である。低温であっても食中毒菌は死滅するのでなく増殖が抑えられるだけであるから増殖適温状態に戻れば自ずと菌が増え食品の腐敗が進むことになります。従って流通過程では温度上昇させることなくお客様のもとに届くようコントロールされるのが低温物流です。

低温食品物流・販売の基本的留意事項

 食品物流は汚染、腐敗をどう防ぐかが基本的条件である。
 このため食品の腐敗の原因となる食中毒菌を「つけず」「ふやさず」「殺す」の3原則に留意しなければならない。又、細菌「ふえる」ための3要素「栄養」「水分」「適当な温度」があるが低温物流は「ふやさない」ための温度条件をコントロールして流通をさせる手法であることをおさえておきたい。

@流通ルートでの細菌汚染をしないよう設備、車両、コンテナを清潔な状態に保つ。
A流通ルートの温度は常に規定温度帯の枠内に保つ。
B流通ルートの設備、車両、コンテナ、人の手指などの消毒を行う。
「ふやさない」ために低温を保つのであるが、10℃以上の細菌増殖適温帯になると猛スピードで菌の増殖がなされるので完璧に流通ルートは低温シェルター状態が保たれなければならないのです。

食品一般に共通する流通ガイドラインとして下記、厚労省のガイドラインの抜粋があるが食品固有の高い実施基準が設けられている。参考資料として掲載します。
(参考資料)  食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)
食安発第0227012号
平成16年2月27日



都道府県知事
指定都市長
中核市長


殿
厚生労働省医薬食品局食品安全部長
 
                 (第1〜第4略)

第5 運搬
(1) 食料の運搬に用いる車両、コンテナ等は食品や容器包装を汚染するようなものであってはならない。また、容易に洗浄、消毒ができる構造のものを使用し、常に清潔にし、補修を行うこと等により適切な状態を維持すること。
(2) 食品と食品以外の貨物を混載する場合には、食品以外の貨物からの汚染を防止するため、必要に応じ、食品を適切な容器に入れる等食品以外の貨物と区分けすること。
(3) 運搬中の食品がじん埃や有機ガス等に汚染されないよう管理すること。
(4) 品目が異なる食品や食品以外の貨物の運搬に使用した車両又はコンテナを使用する場合は、効果的な方法により洗浄し、必要に応じ消毒を行うこと。
(5) バルク搬送の場合、必要に応じ、食品専用の車両又はコンテナを使用すること。その場合は、  車両、コンテナを使用すること。その場合は、車両、コンテナに食品専用であることを明示すること。
(6) 運搬中の温度、湿度その他の状態の管理に注意すること。
(7) 配送時間が長時間に及ばないよう配送ルート等にも留意し、時間の管理に注意すること。
(8) 弁当等にあっては、摂食予定時間を考慮した配送をする等、適切な出荷時間に注意すること。

第6 販売
(1) 販売量を見込んだ仕入れを行う等、適正な販売を行うこと。
(2) 直射日光にさらしたり、長時間不適切な温度で販売したりすることのないよう衛生管理に注意すること。

様々な温度帯物流

 現状行われている温度帯区分にはどんなものがあるのでしょうか。
1つには次のようなものがあります。
 @加温品(20℃以上)
 A常温品(20℃〜10℃)
 B定温品(チルド:5℃〜-5℃、氷温:0℃〜-3℃、パーシャル:-3℃)
 CC3級(10℃〜0℃)
 DC2級(0℃〜-10℃)
 EC1級(-10℃〜-20℃)
 FF1級(-20℃〜-30℃)
 GF2級(-30℃〜-40℃)
 HF3級(-40℃〜-50℃)
 IF4級(-50℃以下)

2つめには食肉製品の区分があります。
 @一般には10℃以下
 A特定加熱商品は4℃以下(ローストビーフなど)

3つめには冷凍食品です。これは規定上の差です。
 @「大量調理施設衛生管理マニュアル:(別添1)原材料、製品等の保存温度」では
     「マイナス15℃以下」
 A日本冷凍食品協会では「マイナス18℃以下」となっています。

4つめには野菜の適温があります。
 @大根、ほうれんそう、ごぼう、レタス、白菜などの保存は0℃前後
       ただし、玉ねぎやジャガイモなどの根菜類は気温の低い時期は冷蔵庫より
       涼しい場所で乾燥気味にして保管するのがいいとされます。
 A根菜類でも、さつまいもの保存適温は12〜13℃、しょうがの適温は14℃と冷蔵庫
   に入れると低温障害を起こし黒ずんできます。
 Bきゅうりやなすは10℃くらいの冷蔵庫でポリエチレン製の袋入り状態であれば2〜
   5日程度はシャキッとした状態を保てますがそれ以上になると低温障害を起こします。
 C野菜を使ったサラダなども複雑な条件が揃いますので一品一品の適温は変わります。

 温度帯物流は品物それぞれの衛生管理、品質管理、鮮度管理条件を満たす「適温」に
 合った条件下で行われなければならないと言えます。

低温物流の課題と方法

  低温商品は生産段階では「HACCP」など厳しい管理下におかれますので衛生面で問題なく出荷されます。
  低温物流は生産段階で問題なく出荷された商品を問題なく消費者の方々にお渡しすることが最低必要条件となります。その要件として増殖活動を抑える定温状態のまま流通させるのが低温物流といえます。温度が基準外まで上昇することによりこの増殖活動が起こることから低温物流の間、基準の温度帯が守られなければなりません。
 物流ルートを川上側から追っていくと「工場冷蔵(冷凍)保管庫」「工場出荷口」「冷蔵(冷凍)車」「物流センター入荷口」「物流センター冷蔵(冷凍)保管棚」「物流センター仕分け場(流通加工場)」「物流センター出荷口」「冷蔵(冷凍)車」「小売り物流センター入荷口」「小売り物流センター一時保管冷蔵(冷凍)庫」「小売り物流センター仕分け場」「小売り物流センター出荷口」「冷蔵(冷凍)車」「店舗入荷口」「小売り一時保管冷蔵(冷凍)庫」「小売り販売冷蔵(冷凍)ショーケース」と大変多くの場所と輸送機関を通過します。

1.設備、車両能力
 冷蔵、冷凍能力は十分に発揮できるよう設計されなければならない。冷凍機や床、壁などの建物の基礎条件はもちろん少しの空間や日当たりなどの条件によっては温度上昇を招くことになります。又、中で働く人も上昇要因でもあります。特に外気にふれやすい入出荷口や通用口は二重扉やドックシェルターでカバーしなければならないでしょう。

2.特に気をつけたい入出荷
 外気に触れやすい入出荷時点は気をつける点が数多くあります。
@建物の入出荷口とトラック荷台に隙間が生じていないか?
  エアシェルター、可動式ボトムシェルター、トップシェルター、サイドシェルターなどを付属設備として設けトラック荷台との隙間を作らないようにしたい。
Aトラックの荷台が高温状態になっていないか?
  案外、見落としがちなのがトラックへの積み込み時点で高温のままであることである。荷台の冷却には少なからず時間がかかることを考え準備をしておきたい。
B出荷口付近に長時間荷物を置きっぱなしにしていないか?
  最近でこそ建物全体が完全温度管理されている施設が多くなっているが、まだまだ出荷口あたりの温度は規定を外れた温度になった冷蔵倉庫も多い。素早く入出荷作業を行い温度昇を避けたい。

3.車両
@車両はできれば運転席で温度状態を観察できるようにしたい。しかも、前後、上下で温度に差があるのが一般的である。ポイント観察できるようにしておきたい。
A冷却した荷台も一度ドアを開けると外気温にすぐ近づく。できればドックシェルター接車を完璧にしてあけること。
B小売店舗を巡回する車の場合は外気温にふれなければならない場合があります。その場合も、二重扉方式にするなど工夫が必要である。

4.店舗
@店舗内の冷凍庫、冷蔵庫は共同使用が多く扉の開け閉めも頻繁である。商品を詰め込みすぎず短時間で出し入れが可能な状態にしなければ温度上昇を招く。
A売場のショーケースはオープン、密閉式を問わず温度上昇の可能性は高い。できるだけ販売量を見ながら補充し温度点検も頻繁に行うようにしなければならない。又、霜取りは営業時間外に設定しても大丈夫なように霜のつき具合に気をつけなければならない。

5.温度管理をするのは人である
 物流のどの段階でも設備のトラブルは起こるものと思っておきたい。そして常に異常値が起こっていないかどうか気を配るよう従事者全員に徹底する必要がある。

そう簡単でない最適低温物流

 常温物流に比較して低温物流は設備、車両にかかる投資やランニングコストは高い。又、完璧な低温のトンネルを実現するのもたやすいことではない。さらに低温下での作業は人にとっては負荷が大きく労働条件も厳しい。
 このような悪条件でも食の安全という物流使命があります。低温物流は優れたプロ意識を持った特に優秀な物流マンに担っていただきたい。

                       2006/11/29  篠原 和豊


       現場改善            >>ホームへ    >>先頭へ
 「現場改善」はいうまでもなく日本の製造業の得意としてきたところです。QC活動やTQC活動などものづくりニッポンを古くから支えてきました。又、今日では「トヨタ生産方式」に代表される現場力向上の活動が流通や事務関係にまで取り入れられるようになりました。あらゆるビジネスにおいて「現場改善活動」が企業力の源泉になっていると言っても過言でないでしょう。
 よく似た言葉で、改善と改革が比較されますが、改善は現状の意義を肯定した上でさらによくしていく活動で部門内や周辺を少し巻き込みながら継続して行う活動です。一方、改革は全社や組織横断的な範囲で今までのありようを根本的に見直し変えていく取り組みを言います。従って改善は1つ1つは比較的簡単に短期間で達成できます。改革の場合は、相当のパワーが必要で場合によっては頓挫したり後退してしまうリスクを備えています。ただ、組織全体のベクトルが合い走り出せば大きなパワーを持ち急速に変革されるのは多くの事例を見たとおりです。
 その意味で改善は小さなことと思われるかもしれないのですが、継続的に行われれば1年、2年と時がたつに従い全く違った世界でいることが感じられるはずです。何よりも働く人たちの力が自ずと養われてきます。又、改革による変革効果を維持、発展させるのにもその後の改善活動によるところが大きいのでないでしょうか。

○コンサルタントは真の改善に導くのか?

 誤解を恐れず記せば多くは「否」でしょう。特に物流系は。理由は簡単です。依頼する側も受託する側も短期に目に見える効果を期待するからです。なるほど、どこの物流現場でも2〜3割のコストダウンに結びつく悪さ加減はすぐ見あたるはずです。それに手をつければ目に見えて効果がはっきり出てきます。問題は、これが落とし穴になっているのです。改善案を作ったのはだれでしょう?現場の人たちでありませんね。自分たちで考えてやったものでなければ本当に理解し納得していないことが多いのです。何ヶ月かたてば元の状態というのもよく聞く話です。少なくとも次の改善を社内でやっていく力はついていないでしょう。真の改善は永遠に改善をし続けることでないでしょうか。だから一人一人の力をつけていくにはどんなことをするのがいいかが問われます。


○改善の主役は一人一人

 
前項のコンサルタントによる改善はコンサルタントを行った時点の悪さに対し手を打った効果が現れたものです。ビジネス、現場、社会環境は日々変化します。今日のやり方は明日に通用するとは限りません。お得意先に一括納入するようになったというだけでそれまで行っていた業務のやり方が通用しなくなるのが現場です。その時、再度コンサルタントに悪さ加減を見てもらって膨大な時間と費用を費やしますか?おそらくそんなことはしないでしょう。
 コンサルタントに直接的な効果を求めるより、改善を行う上でのモノの見方、考え方を習得すべきでないでしょうか。多くの現場では日々のノルマをこなすのに手一杯で問題の在処を探すことすらできていないのでないでしょうか。ちょっとしたきっかけを作るだけでモノの見方や考え方は学ぶことができます。それも1つ1つの小さな改善を体験してみることで簡単に学べます。そこに職場の成長だけでなく自分自身の成長を感じ取れるのが真の改善活動です。
 大野耐一さんが「人間の知惠は凄い。限界がない」と日頃から言われていたそうですが、「知恵を出す場をつくりだす」ことにも腐心をしておられたようです。困ったときにこそ初めて人間は知恵を出します。現場の人たち自ら考え知惠を出したことはその人たちの血になり肉になるのでないでしょうか。一人一人の潜在能力を信じそれぞれの方々の成長につながる活動の場をつくりだすことこそが管理者には求められるのです。コンサルタントに頼るにしても人間性を尊重し将来にも成長を続ける一人一人の改善の主役を多く作り出してもらえるような指導を受けて下さい。


○改善は「考えること」「目で見えること」から
 
 一人一人が知惠を出すにしても「考えること」と問題点が「目に見えること」ができて初めてなりたつものです。よく「見る」「診る」「視る」「覧る」など見方にもいろいろあることや「鳥の目」「虫の目」「魚の目」などマクロな目、ミクロな目などどういった視点に立つのか等によって目にみえることがらの本質がわかるといわれています。
 これを現場で対応するときには単純に分かるような工夫がされなければならないでしょう。誰が見ても分かる表示であり標準書等により異常と正常がはっきりしなければなりません。これがはっきりすれば「なぜ」と考えるようになります。この意識ができてくれば改善は日常的に行われてくるはずです。


○朝令暮改もある

 改善活動をやるなかでは1つ1つ問題点をつぶしていくのですが中にはこれはいいと思って打った手が足を引っ張ることも多々出てきます。そんな時はこだわることなく打った手の問題を洗い直して違った方法を考えるのが最善です。引っ張りすぎてずるずると深みにはまってしまうこともありえます。ただ、案の中の何かの策が脱けていたなどもありますので点検だけはぬかりなくやってください。

 考え、実行し、又考えるのが改善活動ですから。

○改善活動は人づくり


 数値成果ばかりを求めるのが「改善活動」でないことをお分かりいただけたでしょうか?改善活動は人を育て未来永劫に知惠を出し続けどんな変化にも対応し人間力の結集で現場力、組織力として数値成果があとからついてくるものといえるのでないでしょうか。人を信じ「活人」するのもわるくないのでないでしょうか。
 

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最終更新日 : 2011/12/11